十一月二日に行われた李克強前首相の告別式には、長年、師弟関係にあった胡錦濤前国家主席も、元上司の温家宝元首相の姿もなく、様々な臆測を呼んだ。李氏について「習近平氏に殺されたのではないか」という噂は中南海界隈で根強く囁かれている。
　今夏以降、外相の秦剛氏と国防相の李尚福氏が相次いで失脚したこともあり、北京在住の中国共産党関係者は「要人が次々と失脚した文化大革命の前夜の雰囲気だ。次は誰がやられてもおかしくない」と語る。緊張感が漂う中、習近平主席のかつての盟友である人民解放軍の元上将、劉源氏を中心とした共産党元指導者の子弟で構成する太子党周辺から、現体制への批判の狼煙が上がっている。
　告別式の四日後の夜、北京市の目抜き通り、長安街のすぐ近くにあるホール、北京音楽庁で「劉少奇生誕百二十五周年記念コンサート」が行われ、多くの太子党メンバーが集まった。
　コンサートのホスト役を務めたのは元国家主席の劉少奇の息子である劉源氏と娘の劉亭氏。このほか毛沢東の孫・王効芝氏、元首相、周恩来の姪・周秉徳氏、元全国人民代表大会常務委員長、朱徳の孫・朱和平氏の姿が最前列にあった・・・