ミャンマー国軍「弱体化」の様相
武装勢力「反転攻勢」で蠢く中国
2023年12月号
中国と国境を接するミャンマーの辺境地シャン州で、中国系の少数民族を中心とした複数の武装勢力による一斉蜂起が起きた。武装闘争はシャン州を起点に徐々に全土へと拡大し、国軍の弱体化を露呈させた。クーデター後、ミャンマー国軍の後ろ盾となってきた中国政府は静観の構えを見せており、少数民族武装勢力による軍事作戦に「ゴーサイン」を出した形だ。その背景には、本誌が以前指摘した中国・ミャンマー国境におけるオンライン詐欺と人身売買の根深い問題がある。中国人をカモにするオンライン詐欺の取り締まりをしてこなかった国軍への憤りがあるようだ。
中国雲南省との国境検問所があるシャン州北部のチンシュエホー。目立った観光名所もなく、わずかな時間で見て回れてしまう小さな町に十月下旬、赤地に星と小円が描かれた旗がはためいた。ミャンマー国旗ではない。中国の漢民族にルーツを持つと言われる少数民族コーカン族の武装組織「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」の民族旗である。シャン州は国軍の支配が及ばないエリアで、中国の影響力が強い。少数民族武装勢力が支配する特区では中国語が使われ、中国元が流通する。MNDAAがシャ・・・
中国雲南省との国境検問所があるシャン州北部のチンシュエホー。目立った観光名所もなく、わずかな時間で見て回れてしまう小さな町に十月下旬、赤地に星と小円が描かれた旗がはためいた。ミャンマー国旗ではない。中国の漢民族にルーツを持つと言われる少数民族コーカン族の武装組織「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」の民族旗である。シャン州は国軍の支配が及ばないエリアで、中国の影響力が強い。少数民族武装勢力が支配する特区では中国語が使われ、中国元が流通する。MNDAAがシャ・・・