高い塀に囲まれたコンクリート敷きの中庭で、倒れた裸の複数の男性に、大勢の男がナタや手製の刃物で切りつけ、首や脚を切り落として解体する。画面が切り替わると、犠牲者から取り出した心臓を手にした男が「これがイホ・ダ・プータ（売春婦の息子）の末路だ」と繰り返す。別の映像では、血まみれの床に転がる複数の男性の頭部を、男らが鉄棒で原形をとどめないほど打ち据える―。
　これは低級スプラッター映画の一シーンではない。南米エクアドル南西部の太平洋に面する主要都市グアヤキル郊外にある、重罪人を集めた刑務所群でここ数年、飽きることなく繰り返されている現実の殺戮劇の一コマだ。こうした映像は、受刑者が持ち込んだスマートフォンで撮影され、インターネットやＳＮＳに出回っている。今や残酷な犯罪シーンなどを集めたネットの「グロサイト」では、二大巨頭のメキシコとブラジルに次ぎ、エクアドルが残酷動画の一大発信地と化している。

政治家や市民も虐殺の餌食に

　バナナとエビの輸出では世界トップ級。わらで編んだ粋な「パナマ帽」の発祥地として知・・・