国際テロリズムが、世界の重大懸念事項として戻ってきた。イスラム組織「ハマス」は十月、イスラエルへの奇襲攻撃をしかけ、イスラエル民間人や兵士ら一千四百人以上を殺害した。一度の死者数では、一九七三年の第四次中東戦争におけるイスラエル人死者数（二千六百八十八人）に迫る、前例のない大規模テロ攻撃だった。
　中東では、イスラエルとサウジアラビアの歴史的和解が、間近に迫っていた。
　このタイミングでの大規模テロ攻撃は、アラブ＝イスラエル間の和解の動きを止めるのが目的だ。イスラエルとサウジの関係改善は、早速凍結状態になった。
　世界各地のテロ組織は、攻撃を歓迎する声明を出すなど、にわかに勢いづいている。９・11米同時多発テロ事件の直後を思わせるような緊張が、米国や中東各地に漂っている。

イスラエルにとっての「９・11事件」

「これは私たちの９・11だ」
　十月七日のテロ攻撃の衝撃が冷めやらない八日。駐米イスラエル大使であるマイケル・ヘルツォグ氏は、米公共放送ＰＢＳとのインタビューで・・・