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社会・文化

南海トラフ「地震観測網」は穴だらけ

鳥島近海「異変」で不備が露呈

2023年11月号

 将来、巨大地震の震源域になることが確実視されている南海トラフ。その最東端が入り込む駿河湾は、想定される震源域の中で最も関東地方に近い。実は、この湾内では、気象庁が発表しているよりも十倍以上多く地震が発生している―。
 日本は、地震大国だけあって、他国に類を見ないほどの観測体制が整備されている。しかし偏りが大きく、万全に見える観測網が張り巡らされているエリアがある一方で、手薄な場所も多い。さらにその運用もお粗末で、決して誇れるようなものではない。

「緊急地震速報」に影響

 十月上旬、伊豆諸島の鳥島近海で地震が頻発し、相次いで津波注意報が発出された。中には、地震の情報がないにもかかわらず津波注意報が出されるケースもあった。十月二十日には、鳥島から五十キロ離れた海上で、軽石とみられる浮遊物がみつかり、新たな海底火山活動が始まった可能性も指摘されている。
 海底でどのような現象が起きて津波が発生したかというメカニズムがわからない。なんとも不気味である。原因は、鳥島周辺が地震観測の“エ・・・