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経済

東京ガスの悪辣な「料金高止まり」

消費者貧苦を顧みぬ「独占企業」

2023年11月号

 首都圏のガス料金が高止まりしている。東京ガスが発表している東京地区の十一月検針分料金は、標準家庭で五千三百二十九円。ガス小売全面自由化前の二〇一六年十一月分料金と比べると、二割近く高い水準である。東ガスを脅かす競合相手が不在のため、値下げの圧力が働いていない。むしろ、東ガスはここ数年で利益を貯め込み、ガス火力発電所の新設に乗り出せるほど懐が潤った。
「ガスはもうダメだ」。大手電力の幹部が漏らした一言である。ガス小売全面自由化が始まった一七年四月。当初は電力会社を中心に、エネルギー事業の新たな肥沃地帯としてガス事業への参入が相次いだ。だが、六年半の月日が流れた現在、ガス小売全面自由化は死語と化した。かえって際立ったのは、ガス参入障壁の分厚さである。
 草刈場となることが予想された首都圏で、それは最も顕著だった。首都に君臨するのは、ガス業界の盟主、東ガスである。首都圏家庭用ガスの新規参入シェアは、わずか一五%。電気の三五%と比べると雲泥の差が生じている。首都圏の家庭用電力販売をみると、東ガスは新規参入で圧倒的首位に立つ。東ガスが、ガスの客を取られた以上に電気で客を奪い・・・

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