負けて勝つ「師走解散」の法則研究
《政界スキャン》
2023年11月号
苦し紛れの減税は、為政者にとって「悪魔の誘惑」である。渋々もったい付けて出されるカネには、受け取る方だってありがたみを感じない。決めるまでに逡巡すれば、かえって侮られるのがオチだ。経済学的にも効果は知れている。いいことは何もない。
古くは橋本龍太郎元首相が、この悪手にはまった。省庁再編・財政構造改革・日米安保再定義・米軍普天間基地返還・日露外交など歴史的業績に次々と手を付けたが、山一證券さえ廃業する金融不況に見舞われ失墜。一九九八年参院選直前、所得税について「特別減税ではなく恒久的税制改革になるだろう」と踏み込んだ。
同じ派閥の小渕恵三外相が「首相が恒久化と言ったら、国民への公約を果たす」と援護したが、党内調整抜きだった橋本氏は慌てて「減税もあれば、いろいろな負担をお願いするところもある」と軌道修正。すでに選挙戦に入っていたため有権者の不信を買って敗れ、退陣を余儀なくされた。
予兆は前年、人事の失敗に表れていた。内閣改造でロッキード事件「灰色高官」の佐藤孝行氏を、中曽根康弘元首相の要求に負けて入閣させたところ、世論が猛反発。十日あまりで更迭せざるを・・・
古くは橋本龍太郎元首相が、この悪手にはまった。省庁再編・財政構造改革・日米安保再定義・米軍普天間基地返還・日露外交など歴史的業績に次々と手を付けたが、山一證券さえ廃業する金融不況に見舞われ失墜。一九九八年参院選直前、所得税について「特別減税ではなく恒久的税制改革になるだろう」と踏み込んだ。
同じ派閥の小渕恵三外相が「首相が恒久化と言ったら、国民への公約を果たす」と援護したが、党内調整抜きだった橋本氏は慌てて「減税もあれば、いろいろな負担をお願いするところもある」と軌道修正。すでに選挙戦に入っていたため有権者の不信を買って敗れ、退陣を余儀なくされた。
予兆は前年、人事の失敗に表れていた。内閣改造でロッキード事件「灰色高官」の佐藤孝行氏を、中曽根康弘元首相の要求に負けて入閣させたところ、世論が猛反発。十日あまりで更迭せざるを・・・