中国経済は 「日本化」しない
冬の時代を耐える庶民の「粘り腰」
2023年11月号
中国経済の不振は不動産業界から金融に広がり、雇用悪化と輸出減少は一段と深刻さを増している。世界は中国経済がどこまで沈み込むのかを見つめている。そのなかで、中国の庶民は給与収入減少や不動産投資の不調で、耐乏生活に入っている。世界的に物価上昇が続くなかで、中国では豚肉や野菜など食品価格が値下がりし、自動車から日用雑貨まで売れ筋は低価格帯にシフトしている。日本のメディアが大騒ぎする訪日観光客の〝爆買い〟はもはや例外にすぎない。だが、切り詰めた生活でも破産・破綻をせず、首をすくめて〝春〟を待つのが中国人。中国経済はマクロの苦境とリアル経済の粘り強さを混同すべきではない。
「豚肉は週末だけ、平日は安い魚と卵、野菜が主菜」。北京市に住むある家庭の食生活だ。北京市南部に本社を置く情報通信関連の企業に勤める夫婦だが、IT不況のあおりを受け、夫婦合算の収入はピークだった二〇二〇年の半分まで落ちた。三十年で組んだ住宅ローンの返済が月々一万元(約二十万円)を超え、食費を削らざるを得なくなったからだ。
豚肉なしの食生活は考えられない、というほど中国人にとって豚肉は重要な食材だが、それを・・・
「豚肉は週末だけ、平日は安い魚と卵、野菜が主菜」。北京市に住むある家庭の食生活だ。北京市南部に本社を置く情報通信関連の企業に勤める夫婦だが、IT不況のあおりを受け、夫婦合算の収入はピークだった二〇二〇年の半分まで落ちた。三十年で組んだ住宅ローンの返済が月々一万元(約二十万円)を超え、食費を削らざるを得なくなったからだ。
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