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「英国パブ」絶滅への一本道

文化遺産を呑み込む強欲経済

2023年11月号

 英国大衆文化の象徴として知られるパブが、猛烈なスピードで減少している。二〇〇〇年には全英で六万店以上あったパブが、二〇年代に入って四万を割り込んだ。ここ数年は閉店が加速し、英国各紙は「一日に二店のペースで消えている」と警鐘を鳴らしている。
 相次ぐ閉店、廃業の理由について「英国人の家飲みが増えた」「若者に敬遠される」など、様々な解釈が出されているが、真相はもっと深刻だ。首都ロンドンなど都市部の不動産価格高騰で、大衆酒場は歴史的な転換点を迎えている。
 今年五月、ロンドンのパブ六店が一斉に、オークション・サイトの「売り物件」に上げられ、ロンドン市民を驚かせた。
「このニュースを見て、『そう言えば、どんどん消えているね』と同僚の間で話題になった」と、金融街シティで働く英国人女性が言う。「あわてて周辺の店を見て、営業していたのでほっとした」が、シティから少し離れた自宅周辺では「数年前にパブがゼロになって、今はマンションが建っている」そうだ。
 パブ閉店ラッシュは、ロンドンやバーミンガムなど、大都市圏で著しい。ロンドンでは今年前半だけで、四十六店が営業・・・