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社会・文化

「脳卒中」その時どうするか

最先端治療と課題山積の日本

2023年10月号

 脳卒中は我が国の国民病だ。一九五一年から八〇年まで、死因のトップだった。二〇二二年も十万七千四百七十三人が死亡し、がん、心疾患、老衰につぐ第四位の死因だ。それが近年、治療法の進歩が著しい。脳卒中患者が救命され、社会復帰できるようになった。日本の脳卒中治療レベルは高く、世界をリードしてきた。ただ病院の態勢や医師不足といった問題から、最先端の医療の恩恵を国民が享受できているとは言い難い。
 一〇年度から始まった、脳卒中の医療体制の整備のための研究「J-ASPECT Study」によれば、脳卒中の死亡率は四・四%で、大半の患者が救命される。産業医科大学、東京女子医科大学の研究によれば、復職率は五五%、六二%だ。脳卒中は脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血と、脳の血管が詰まり、その支配域に血液が途絶える脳梗塞に大別される。進歩が著しいのは、脳卒中の約六割を占める脳梗塞の治療である。
 脳梗塞では、閉塞した血管の下流の脳細胞の全てが直ぐに死ぬわけではない。血流低下により、機能が低下しているものの「仮死」状態でとどまっている部分があり、閉塞した血管を早期に開通させることで脳細・・・