「五億円の報酬をもらって、いったい何をしていたのか」
　こんな指弾の質問が飛び出たのも当然だろう。その場で展開されたのは、経済同友会代表幹事まで務めた“損保業界のドン”を必死に守る茶番劇だったからだ。
　ＳＯＭＰＯホールディングスの会長兼ＣＥＯ・櫻田謙悟、損害保険ジャパンの社長・白川儀一―。九月八日、二人揃って開かれた親子両社の、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求をめぐる記者会見は、延々三時間三十五分に及んだ。白川は引責辞任を表明、ビッグモーターの不正を認識しつつ、一度は停止した事故車両の紹介を再開したことについて「軽率だった」「親会社にも報告していなかった」「一日も早い辞任が必要と決断した」と語り、櫻田にも及ぶ批判の人身御供となったのだ。

兼重に手玉に取られた

　しかし、櫻田は損保ジャパン取締役でもある。「ビッグモーターが代理店であることを知らなかった」という弁解では、報酬五億円に見合う責任を果たしているとは言えず、むしろ世間の不信は募る。
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