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経済

「米国債」が次の危機の火種に

世界一安全な証券に潜む「毒素」

2023年10月号

 米連邦準備制度(FED)、米証券取引委員会(SEC)などが高レバレッジの「米国債ベーシス取引」の危険性を指摘している。「隠れレバレッジ」のリスクが警告されている。これは「将来起こりえる金融ショック」の震源地というよりも増幅装置になりうる状況だ。
 金融安定理事会(FSB:主要国の金融当局で構成される組織)は九月に発表したリポートのなかで、米国債取引における隠れレバレッジに言及した。
「ヘッジファンドの中には非常に高い合成レバレッジを使ったマクロ戦略とレラティブ・バリュー(相対価値)戦略を追求する一群がある」「少数のプライムブローカーがヘッジファンドへの融資を独占しており、(何かが起これば)これらの集中がショックを増大させることになり、金融システム全体に波及する事態になりかねない」
 国際決済銀行(BIS)も同様に「レバレッジを使った投資家による投機ポジションが再び増加している。米国債のレバレッジがかかったショートポジションの山は、証拠金(の返済)スパイラルを引き起こす可能性があり、監視すべき金融脆弱性だ」と、九月十九日に発表した四半期レビューのなかで警鐘・・・