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経済

「企業買収」もっと活性化するべき

田中 亘 (東京大学社会科学研究所教授)

2023年9月号

 ―企業買収に対する日本人の意識は変わってきましたか。
 田中 最近では敵対的なTOB(株式公開買付)であっても、受け入れられる土壌ができてきた。かつて、M&A自体があまり歓迎されない空気が日本の企業社会にあったことを考えれば隔世の感があり、感慨深い。M&Aはマネーゲームではなく、企業の再編を促し、資源配分の最適化を図ることで社会、経済を活発化することができる手段だ。日本では、企業が、自社がベストオーナーとはいえない事業を保有しているために、収益性が低くなったり、非効率な体質が染みついているケースが多い。これが、日本経済全体の足をひっぱる課題になってきた。
 ―そうした危機感が徐々に共有されつつありますか。
 田中 資本効率を意識した経営は社会的要請だ。今年三月には東京証券取引所が上場企業に対して、資本コストや株価を意識した経営の実現を求める要請を出している。当然のことではあるが、日本の古い体質の企業では疎かにされてきた点・・・

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