新大学評判記 第45話
武蔵野美術大学 ビジネス人材に「美意識」を注入
2023年9月号
企業経営にアートの要素を取り込もうという流れが世界的に強まり、美術大学がビジネスエリートの学び直しの場として再評価され始めている。日本には美術専門の大学から、美術系学部を持つ大学までカウントすれば八十校以上がある。その中で、「官の東京藝術大学」に対抗する「私立の雄」が武蔵野美術大学である。在校生は七千五百人(通信課程含む)に達し、「世界最大の美大」(同大学関係者)として存在感を高めつつある。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』。人材開発コンサルタントの山口周氏が二〇一七年に出版した、このタイトルの新書が日本のビジネス界に衝撃を与えた。今世紀に入って、日本の大手企業で経営学修士(MBA)取得者が増えるのと反比例するように日本企業の停滞感が深まった。内部留保は年々積み上がっても、新しい成長分野を開拓できず、未来に展望のない企業ばかりになったからだ。
深まるビジネス界との関係
その背景には、組織のスリム化、アウトソーシング志向、キャッシュフロー一辺倒、リスク回避、M&Aによる成長といったM・・・
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』。人材開発コンサルタントの山口周氏が二〇一七年に出版した、このタイトルの新書が日本のビジネス界に衝撃を与えた。今世紀に入って、日本の大手企業で経営学修士(MBA)取得者が増えるのと反比例するように日本企業の停滞感が深まった。内部留保は年々積み上がっても、新しい成長分野を開拓できず、未来に展望のない企業ばかりになったからだ。
深まるビジネス界との関係
その背景には、組織のスリム化、アウトソーシング志向、キャッシュフロー一辺倒、リスク回避、M&Aによる成長といったM・・・