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政治

検察が執念燃やす 「菅義偉包囲網」

側近・手勢が次々狙われる真因

2023年9月号

 洋上風力発電をめぐる秋本真利前外務政務官の贈収賄疑惑事件は、どこまで延びるのか。秋本氏は自民党では珍しい反原発・再エネ推進派。河野太郎デジタル相の強い引きで千葉県の市議から国会議員となり、「私の大切な右腕」とかわいがられていた。
 東京地検特捜部の捜査が世間を驚かせたのは、業者から渡った六千万円とも言われる金が、「馬主組合への経費支出」を装って行われた特異さだ。馬主と聞けば、政界の事情通なら、東京都港区の道路を隔てて東京タワーを見上げる古い建物を思い浮かべる。通称・麻布台ビル。河野氏の実弟が社長の日本端子など一族の関連会社が入居し、上層階は競馬諸団体が事務所を構える。昭和の畜産界のドンだった河野一郎元副総理は、自ら那須野牧場を所有。息子の河野洋平元衆院議長は日本軽種馬協会会長理事を務め、孫の河野太郎氏も日本競走馬協会会長だった。これまで政官界の汚職事件で競馬ネタが絡むたびに、河野一族との接点がささやかれてきたものだ。
 新たに「馬主組合」を設立して資金を動かすには特殊な知識が必要なはず。秋本氏は河野一族からノウハウを伝授されたのか。そう勘ぐられるのも無理はない。今・・・