中国が南シナ海で奪う「次の領土」
フィリピンの苦境に米国の逡巡
2023年9月号
国際法に違反し、南シナ海のほぼ全域を自国領と主張する中国が、フィリピンが実効支配するスプラトリー諸島アユンギン(セカンド・トーマス)礁の奪取に照準を定めた。フィリピンは一九九九年、米海軍からフィリピン海軍に移管された戦車揚陸艦「BRPシエラ・マドレ」をアユンギン礁に座礁させ、海軍兵士らを駐留させたものの、近年は老朽化が激しい。中国は「基地」としての機能がほぼなくなりつつあるシエラ・マドレが朽ちるのを待ち、アユンギン礁を奪う狙いだ。フィリピンはこの動きに対抗して準軍事組織創設の検討を始めたが、心許ない。
中国海警局がやりたい放題
八月五日、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の巡視船に護衛されながらアユンギン礁へ向かっていた二隻の補給船のうち一隻が、中国海警局の艦船から進路を妨害され、放水銃を浴びた。
アユンギン礁は、フィリピン最西端のパラワン州から百五・七七海里の距離にあり、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。フィリピンは一九九九年、アユンギン礁にシエラ・マドレをわざと座礁させ、十数人の兵・・・
中国海警局がやりたい放題
八月五日、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の巡視船に護衛されながらアユンギン礁へ向かっていた二隻の補給船のうち一隻が、中国海警局の艦船から進路を妨害され、放水銃を浴びた。
アユンギン礁は、フィリピン最西端のパラワン州から百五・七七海里の距離にあり、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。フィリピンは一九九九年、アユンギン礁にシエラ・マドレをわざと座礁させ、十数人の兵・・・