セレブの街 「芦屋」の没落
史上最年少市長を生んだ「窮状」
2023年8月号
「芦屋」と言えば、東京の田園調布と並ぶ高級住宅街で、超富裕層が住む街――。世間一般では、そんなイメージだろうか。その兵庫県芦屋市に四月の統一地方選で、弱冠二十六歳、史上最年少の市長が誕生した。髙島崚輔氏。灘高・米ハーバード大学卒という華やかな経歴もあり、メディアの脚光を浴びた。芦屋では今、街の「没落」と言っていい深刻な事態が進行している。髙島氏のかじ取りが問われるが、その力量、立ち位置を疑問視する声が聞こえてくる。「付け焼き刃」の臭いが漂っている。
二二年度、芦屋市の住民一人あたりの住民税は約二十二万円。隣接する神戸市(約十万三千円)や東京二十三区(約十二万一千円)の約二倍だ。富裕層が高額の税金を納めるため、市の財務は万全だ。二一年度の財政力指数一・〇二四の不交付団体である。住宅地の二三年度公示地価は、一三年度と比べて二四%も上昇している。東京二十三区(三九%)には及ばないものの、横浜市(一六%)や大阪市(一二%)を大きく上回る。
順風満帆に見える芦屋市の大問題は高齢化である。現役世代が住まない街になってしまっているのだ。二二年時点での高齢化率(六十五歳以上人口・・・
二二年度、芦屋市の住民一人あたりの住民税は約二十二万円。隣接する神戸市(約十万三千円)や東京二十三区(約十二万一千円)の約二倍だ。富裕層が高額の税金を納めるため、市の財務は万全だ。二一年度の財政力指数一・〇二四の不交付団体である。住宅地の二三年度公示地価は、一三年度と比べて二四%も上昇している。東京二十三区(三九%)には及ばないものの、横浜市(一六%)や大阪市(一二%)を大きく上回る。
順風満帆に見える芦屋市の大問題は高齢化である。現役世代が住まない街になってしまっているのだ。二二年時点での高齢化率(六十五歳以上人口・・・