《企業研究》JERA
悲願の「株式上場」は五里霧中
2023年8月号
中部電力の会長・勝野哲、社長・林欣吾は、それぞれ何に想いを馳せているだろうか。
「すべての結果が出るのは年末だ。それ次第でJERAのIPO(新規株式公開)は大きく左右されることになる」
七月十四日、経済産業省が電力販売のカルテル事件を受け、中電の販売子会社など五社に業務改善命令を発動したその日、ある電力関係者はこう囁いた。
五社は外部人材が過半数を占めるコンプライアンス組織を新設し、改善計画を八月十日までに経産省へ提出しなければならない。さらに同省は新電力の顧客情報の不正閲覧、電力卸取引の差別対価など一連の不適切事案についても、五社を含む十三社に改善を指示した。その中で、最も微妙な立場にあるのが中電グループなのだ。
中電は、関西電力とのカルテルをめぐり公正取引委員会から命令された二百七十五億円の課徴金納付については、処分取り消しを求め、提訴する構え。最高裁判所まで争えば、決着に五年はかかる。しかし、東邦ガスとのカルテル疑惑が残っており、また電力卸取引の差別対価では疑惑の核心が中電なのだ。いずれも調査中の公取委は年末に裁定を下す見通しだ。{・・・
「すべての結果が出るのは年末だ。それ次第でJERAのIPO(新規株式公開)は大きく左右されることになる」
七月十四日、経済産業省が電力販売のカルテル事件を受け、中電の販売子会社など五社に業務改善命令を発動したその日、ある電力関係者はこう囁いた。
五社は外部人材が過半数を占めるコンプライアンス組織を新設し、改善計画を八月十日までに経産省へ提出しなければならない。さらに同省は新電力の顧客情報の不正閲覧、電力卸取引の差別対価など一連の不適切事案についても、五社を含む十三社に改善を指示した。その中で、最も微妙な立場にあるのが中電グループなのだ。
中電は、関西電力とのカルテルをめぐり公正取引委員会から命令された二百七十五億円の課徴金納付については、処分取り消しを求め、提訴する構え。最高裁判所まで争えば、決着に五年はかかる。しかし、東邦ガスとのカルテル疑惑が残っており、また電力卸取引の差別対価では疑惑の核心が中電なのだ。いずれも調査中の公取委は年末に裁定を下す見通しだ。{・・・