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ウクライナ「汚職・腐敗」が重症に

支援国の傍観で進む「強権化」

2023年8月号

 ロシア軍への反転攻勢を続けるウクライナでもう一つの戦端が開かれつつある。戦前から同国の最大の課題であった汚職問題を巡り、ボロディミル・ゼレンスキー政権批判を抑えてきた野党や民間の反汚職団体が声を挙げ始めた。汚職という爆弾は西側のウクライナ支援にも影響しかねない。
 西側の外交官や世界銀行など国際金融機関の関係者が注視する人物がいる。大統領府副長官のオレフ・タターロフ。ほとんど表舞台に出てくることはないが、治安機関の勢力の調整役として政権内で影響力を増し、人事にも強い発言権を持つとされる。ウクライナの野党や反汚職団体はタターロフを汚職の元凶と見なし、水面下で西側に制裁を働きかけている。
 タターロフの影響力は内務省、ウクライナ国家警察、ウクライナ保安庁(SBU)、経済犯罪を取り締まる経済安全保障局、税関当局、反汚職検察庁(SAPO)と多岐に及び、自分の息のかかった人物を要職に送り込んでいる。政府調達や国営企業を巡る汚職の捜査を妨害し、密輸などにも関与していると野党は糾弾する。
 タターロフの経歴は確かに不安を掻き立てる。親ロシア派ヴィクトル・ヤヌコビッチ政・・・