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中国「国連機関乗っ取り」の非道

食糧農業機関は「一帯一路」の先兵に

2023年8月号

 中国が国連の専門機関の支配を進めている。最新の標的は、食糧農業機関(FAO)だ。
 FAOは伝統的には米欧の影響力が強かった組織だが、二〇一九年に中国の屈冬玉氏が事務局長に選ばれて以後、組織内に中国政府の発言力が強まった。
 ロシアが昨年二月、ウクライナに軍事侵攻して以降は、対ロシア経済制裁について、FAOで論議されることも増えた。西側にとっては、極めて重要な国際機関である。屈事務局長の下で、中国政府直轄の様相が明確になったばかりか、ロシア政府寄りの姿勢もうかがえる。
 国際機関の中国人トップが、自国の利害丸出しで突っ走る事態は、他の機関でも起きている。日米欧にとっては、真剣な見直しと対策が急務になっている。

FAOの司令塔は中国政府に

 中国がいかにFAOトップのポストを欲しかったかは、四年前の一九年の事務局長選の時に明らかになった。欧州連合(EU)がフランスの候補を立て、米国も旧ソ連ジョージアの候補を推す中、三つ巴が予想された。ところが、第一回投票で屈氏が過半数を集め、中国・・・