欧州「旅行客過剰」の修羅場
制御不能の「人だらけ観光地」
2023年8月号
本格的な夏の観光シーズンを迎え、世界各地の有名観光地が「オーバーツーリズム(旅行客過剰)」に襲われている。現地が対処しきれないほどの旅行者が襲来する現象で、SNS時代を迎えて、有名観光地はますます、過剰な旅行者対策に頭を痛めることになった。
中でもヨーロッパの観光地は、外国の旅行者にとってアクセスが良い上に、人気のスポットが比較的小さなエリアに集中している。住民が悲鳴を上げるような混雑に、どう対処するのだろうか。
「観光客だらけ」と言えば、読者はまずイタリアのベネツィアを思い浮かべるだろう。新型コロナウイルス感染拡大前の二〇一九年に、ベネツィア訪問客は一年で五百五十万人に達した。一日平均で一万五千人が、狭いベネツィア本島にひしめいた計算だ。夏のピーク時には一日十五万人に達した。
市当局はかなり前から「入市料」導入を検討してきた。市に入るだけで、三~十ユーロの支払いを求めるというものだが、周辺市町村から「仕事で行くのに、その都度カネを払わされるのか」という苦情がやまず、調整が難航した。ここ数年は「来年から導入」を掲げては延期するという繰り返しで、昨年も・・・
中でもヨーロッパの観光地は、外国の旅行者にとってアクセスが良い上に、人気のスポットが比較的小さなエリアに集中している。住民が悲鳴を上げるような混雑に、どう対処するのだろうか。
「観光客だらけ」と言えば、読者はまずイタリアのベネツィアを思い浮かべるだろう。新型コロナウイルス感染拡大前の二〇一九年に、ベネツィア訪問客は一年で五百五十万人に達した。一日平均で一万五千人が、狭いベネツィア本島にひしめいた計算だ。夏のピーク時には一日十五万人に達した。
市当局はかなり前から「入市料」導入を検討してきた。市に入るだけで、三~十ユーロの支払いを求めるというものだが、周辺市町村から「仕事で行くのに、その都度カネを払わされるのか」という苦情がやまず、調整が難航した。ここ数年は「来年から導入」を掲げては延期するという繰り返しで、昨年も・・・