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プーチンの「余命」

クーデターが開いた「破局」の扉

2023年7月号特別リポート

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が激震に見舞われた。六月二十三日の金曜日から一日半あまり、強力な民間軍事会社「ワグネル」を持つエフゲニー・プリゴジンに反乱を宣言され、ロシアの権力機構内部に深刻な亀裂があることを、全世界にさらけ出してしまった。ロシアのような広大な領土を持つ独裁国家が、いかに少数の反乱分子に弱いかは、一九九一年のソ連消滅の過程でも明らかになった通りだ。
 この年にクーデターを起こされたミハイル・ゴルバチョフ大統領(当時)は、それから四カ月あまりでクレムリンを追われた。プーチン大統領が今後、「全権掌握」ぶりをいかに誇示しても、クレムリンの脆弱さは、満天下に示された。いびつで巨大な独裁国家が、深刻な疾患をかかえた時にどうなるか。国際社会は「プーチン後」を真剣に準備しなければならない。

米国情報機関は事前に知っていた

 米国の情報機関が、クーデターの動きを最初に察知した日を、今では特定できる。それは六月十日のことだ。
 この日、ロシア国防省が、志願兵の部隊(傭兵部隊)に対し、・・・