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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》霞会館

「皇室の藩屏」旧華族の最近事情

2023年7月号

 戦後日本の天皇制の特異性は、憲法で天皇を国民統合の象徴と定める一方、天皇を元首とする規定が、憲法にも他の法律にもないことだ。立憲君主制の国家の元首は国王であるのに、天皇は制度面、法律面で不安定要因を抱え、皇室のあり方が政争の具になることもある。そんな皇族を明治以来、国民の目から見えないところで静かに支えてきた組織がある。旧皇族や旧華族の当主らで構成する一般社団法人「霞会館」である。
 霞会館の所在地は、官僚機構の代名詞でもある東京・霞が関にある。「日本初の超高層ビル」として昭和四十三年(一九六八年)に竣工した地上三十六階、地下三階の「霞が関ビル」の三十四階だ。会員制の社交クラブとして会員専用のバーカウンターがあり、会員同士が集まって情報交換する。会員専用のプールエリアやビリヤード場もあり、定期的に大会が開かれる。令和四年(二〇二二年)度の会員名簿には、名誉会員七人、会員五百五十九人、家族会員七百十七人の名前が記されている。
 東京都心の一等地にあるのに、会費は驚くほど安い。首都圏在住者は年六千円、地方会員は三千円だ。
 しかも、館内のレストランは、カレー・・・