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経済

《企業研究》住友化学

真っ赤に炎上する「経団連会長社」

2023年7月号







 歴代最軽量―といった揶揄に晒されながらも、財界トップの経団連会長として在任三年目を迎えた十倉雅和・住友化学会長。五月末に開催された経団連の定時総会では内定していた筒井義信・日本生命保険会長や澤田純・NTT(日本電信電話)会長ら六人の新副会長が正式に選任されるのを見届けたうえで挨拶に立ち、「成長と分配の好循環を通じて日本経済にダイナミズムを取り戻す」などとしてコロナ禍後の経済再生に向けた強い決意を示した。
 今年の春季労使交渉で経団連は岸田文雄政権の要請にも応える形で、約三十年ぶりとなる高水準の賃上げを実現。新副会長人事では初めて外資系企業トップ(野田由美子・ヴェオリア・ジャパン会長)をその布陣に加えるなど「多様性」への寛容さも演じてみせた。来年以降の「構造的賃上げ」の継続にも意欲を燃やす。
 だが今、こうした一連の財界活動を通じて十倉氏が恐らく味わっているであろう「高揚感」(財界OB筋)とは裏腹に、その足元は大きく揺らいでいる。出身母体であり、後ろ盾となるべき肝心の住友化学の業績が一向に振るわ・・・

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