岸田は茂木を斬れるのか
「総裁再選」戦略の最重要局面
2023年7月号
時計の針を三月十五日に戻す。首相岸田文雄はこの夜、東京・赤坂の日本料理店「梢」で自民党本部事務総長元宿仁と向き合っていた。元宿は二度にわたる自民党の野党転落から政権与党への復活を実現させた「陰の大功労者」。岸田が経理局長時代にイロハを学んだ政治の師。岸田は初めて衆院解散への意欲を元宿に伝えた。翌十六日は韓国大統領の尹錫悦が初めて来日し、日韓首脳会談が予定されていた。岸田にはこの日韓首脳会談を皮切りに解散戦略を構築する意図があった。ただし、元宿はこう述べて回答を留保した。
「いずれにしても最終判断は情勢調査をやってからにしましょう」
岸田は元宿の原則的同意を得られたからだろう、元宿が「明日は重要な日韓会談がありますから、そろそろ……」と促すまで上機嫌で痛飲した。
岸田が五月十九日からの先進七カ国首脳会議(G7広島サミット)を成功させた上で、通常国会の会期末解散を見据えていたことは言うまでもなかった。日韓首脳会談後の岸田は日独首脳会談、日印首脳会談、そしてインドからポーランド経由で電撃的にウクライナを訪問、首都キーウで大統領の・・・
「いずれにしても最終判断は情勢調査をやってからにしましょう」
岸田は元宿の原則的同意を得られたからだろう、元宿が「明日は重要な日韓会談がありますから、そろそろ……」と促すまで上機嫌で痛飲した。
岸田が五月十九日からの先進七カ国首脳会議(G7広島サミット)を成功させた上で、通常国会の会期末解散を見据えていたことは言うまでもなかった。日韓首脳会談後の岸田は日独首脳会談、日印首脳会談、そしてインドからポーランド経由で電撃的にウクライナを訪問、首都キーウで大統領の・・・