昭和の時代、知り合いの子弟が龍谷大学に進学したと聞けば「お坊さんになるんだね」と多くの人が合点した。一六三九年、浄土真宗西本願寺派が僧侶育成の学寮として創立し、一九二二年に大学を設置した日本を代表する仏教教育の拠点だったからだ。だが、今、龍谷大は学部などの主に三つのキャンパスにのべ十一学部を擁し、創立四百年に向け、新学部をさらに開設しようとしている。仏教の教えとは似つかぬ貪欲な膨張主義と言われてもやむを得ないだろう。
　龍谷大の新入生には「仏教の思想」という必修科目があり、毎月一回、学長による法話もある。毎年五月二十一日は親鸞聖人の誕生を祝う「降誕会」も全学をあげて開かれる。文学部の真宗学科、仏教学科ではいまなお、僧侶を目指し、得度する学生も多い。
　とはいえ、文学部、経済学部、経営学部、法学部、社会学部から理工学部、農学部まで幅広い分野をカバーする総合大学。学生総数は学部だけで二万人を超す関西ではマンモス校である。仏教教育の色は薄れるばかりだ。

「第二の近畿大学」

　京都市伏見区に立地・・・