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経済

関西電力が「核燃料」でまた詐術

業界内「孤立」がもたらす危機

2023年7月号

 何とも身勝手な物言いではないか―。主要紙の関西版が「奇策」「ウルトラC」と、シニカルな報道に終始したのも当然だろう。
「約束は、ひとまず果たされたと考えている」
 関西電力社長の森望は六月十二日、原発七基を立地する福井県の知事・杉本達治と面談し、使用済み核燃料の一部を二〇二〇年代後半にフランスへ搬出すると伝えた。その際、森が語り、またニュースリリースにも記されたのがこの独善的な見解なのだ。
 約束とは、関電が二一年二月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の福井県外の候補地を、二三年中に選定すると宣言したことを指す。関電は県外搬出の約束を二度反故にしており、当時、美浜三号機、高浜一号・二号機の四十年超稼働が喫緊の課題だった前社長の森本孝は「不退転の覚悟」と語り、三度目の約束をした。果たせないときは四十年超の原発三基を停止すると見得を切っていたのだ。
 約束は履行されたのか―。関電が発表したのは今回も中間貯蔵の県外候補地ではない。高浜原発のプルサーマル発電で発生した、使用済みのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の再処理をめぐる日仏の実証事業であ・・・