中国人民元「大暴落」は遠からず
習近平体制を襲う次の「痛打」
2023年7月号
習近平政権が強く求めてきた人民元の国際化がロシアのウクライナ侵攻によって予期せぬ形で急進展した。国際制裁を受けたロシアが資源輸出をドル建てから人民元建てに切り替え、インドをはじめグローバルサウスの一部が追随したためだ。貿易決済における人民元の利用は急拡大する一方で、中国政府がコントロールできない人民元が国外に急速に積み上がっている。オフショア人民元の膨張であり、「人民元売り」など中国経済を揺さぶる可能性が出ている。中国の「管理された変動相場制」という詐術は化けの皮が剥がれ始め、中国経済の新たなリスクになってきた。
中国政府は人民元の流通を国内(オンショア)、国外(オフショア)に厳格に分離している。国内は中国国家外為管理局と中国人民銀行がドル、ユーロなどと連動させながらも恣意的に動かしている。香港を中心とするオフショア人民元は為替変動、投資、送金などを基本的に市場に委ねる形。国内の人民元を「CNY」、オフショア人民元を「CNH」と区別している。同じ通貨でありながらCNYとCNHでは、対ドルレートが微妙に食い違う二重為替制度で動いてきた。貿易決済や直接投資での為替取引は大歓迎・・・
中国政府は人民元の流通を国内(オンショア)、国外(オフショア)に厳格に分離している。国内は中国国家外為管理局と中国人民銀行がドル、ユーロなどと連動させながらも恣意的に動かしている。香港を中心とするオフショア人民元は為替変動、投資、送金などを基本的に市場に委ねる形。国内の人民元を「CNY」、オフショア人民元を「CNH」と区別している。同じ通貨でありながらCNYとCNHでは、対ドルレートが微妙に食い違う二重為替制度で動いてきた。貿易決済や直接投資での為替取引は大歓迎・・・