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「プリゴジンの乱」で沈むロシア外交

中国がプーチンを見放す事態に

2023年7月号

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の指導者、プリゴジンの決起は、二十三年に及ぶプーチン体制下で最大の造反事件だ。一時占拠した南部ロストフナドヌーで、市民がワグネル部隊を大歓声で迎えるシーンが、ロシアのSNSで伝えられた。
 プーチン大統領の国際的威信は低下し、外交展開がさらに困難になった。エリート層の体制への不信感や不安が広がる中、プーチンは反乱の後始末や体制堅持、国防省再編に全力を挙げる必要がある。ウクライナ戦争や外交の指導はおろそかになりそうだ。
 反乱事件は、国際刑事裁判所(ICC)が今年三月、ウクライナからの子供連れ去りでプーチンに逮捕状を出したことに続く権威失墜となった。ICC締約国は百二十三カ国に上り、これらの国への外遊は困難。国際舞台での「プーチン不在」で、欧米諸国やウクライナは、プーチンの弱い国内基盤に付け込もうとするだろう。
 今年八月以降は重要な外交行事が目白押しで、南アフリカが主催する新興五カ国(BRICS)首脳会議が八月二十二~二十四日、ヨハネスブルグで開かれる。ICC加盟国の南アは、プーチンの出席に道を開くため、逮捕を回避する特別・・・