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政治

若者重視の選挙制度に変えよ

井堀利宏 (東京大学名誉教授)

2023年6月号

 ―現状の人口動態は日本の政治にどのような影響を与えていますか。

 井堀 岸田文雄政権は「少子化対策」を掲げており、「シルバー民主主義」ではないようにも見える。しかし実際は、若い人の人口は減少し投票率も低いため政治的発言権がない。将来世代に負担を背負わせる以上、若い世代の発言力を強めることが重要だ。そうしなければ予算配分などで、この国の構造を抜本的に変えることはできない。

 ―岸田政権の少子化対策は評価できますか。

 井堀 若い世代の支援を打ち出しているが、その財源が曖昧なままだ。高齢者に負担させずに、ファミリー層に給付をするのは難しいだろう。高齢者への給付削減は喫緊の課題だ。社会保険料を少子化対策に回そうという議論があるが、あれは禁じ手。本来は増税するか国債を発行するしかない。しかし増税には政治家が及び腰で、国債発行では負担を将来世代につけ回すことになり本末転倒だ。政治を根本的に変える・・・

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