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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》日本薬剤師会

時代錯誤の凄まじき利権集団

2023年6月号

 大波に小舟がのみ込まれるように大型商業施設の進出で地域の商店が廃業し、オンライン書店の隆盛で街の本屋が消え、利便性の代償としてコミュニティーの紐帯や良書との出合いが失われた近年の現象とは正反対に、小舟が大波を抑え込む世界がある。それが調剤薬局だ。そこには、利権本位の構造が薬を使う人の安全と国の財政を脅かす闇が広がっている。
 二〇二二年十二月現在、調剤薬局の数は全国で六万九百五十一軒と、コンビニエンスストアの約五万六千軒を上回る。過当競争で儲けが少ないかといえば、そうではない。厚生労働省の「医療経済実態調査」(二一年)によると、調剤薬局一店あたりの売り上げは平均一億七百二十九万円、利益は九百二十五万円、利益率は五・五%だから、コンビニの三〜五%より高い。調剤薬局が増え続けるゆえんだ。
 一九七四年、当時の厚生省は、病院の外にある薬局で薬を調剤してもらう「院外処方」のために、医師が処方箋を書く「処方箋料」を大幅に上げた。九二年には薬価算定方式を変更し、国が定める薬の価格と、薬局の仕入れ価格との差である「薬価差益」を縮めた。医療機関が院内で調剤する場合、薬価差益が大き・・・