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経済

《企業研究》日産自動車

陰湿卑劣な「内紛劇」その全内幕

2023年6月号

 結果は反対二、賛成三の可決だった。抜き打ちの動議によって、日産自動車の筆頭社外取締役・豊田正和の“解任”は決まった。
「不当だ!」
 五月十一日に開かれた日産の指名委員会―。六人の委員のうち、委員長の豊田、井原慶子、アンドリュー・ハウスはこう異議を唱えたが、永井素夫が主張する豊田の退任要求は動かなかった。豊田は日産の人事をめぐるガバナンス問題において一部の不満分子と共謀している怖れがあり、「中立であるべき社外取締役として不適任」とされたのだ。批判の応酬を制し、永井、木村康は動議の採決を押し切った=左頁表参照。
 採決は当事者の豊田が外れ、逆に日産の筆頭株主、仏ルノーの会長であるジャンドミニク・スナールが加わり、二対三の結果となったのである。いったい何が起きたのか―。事態の顛末を語った日産幹部の悲憤と焦燥は深い。
「このままではルノーの言いなりになる。だいたい取締役たちは経産省を敵に回す気か」
 豊田は元経済産業審議官である。退官後、日産入りしたのは二〇一八年六月、カルロス・ゴーンの会長時代だ。が、当時の社長・西・・・