トヨタ自動車グループの不正続発の「真因」は三月末で社長を退き、四月から会長に就いた豊田章男氏の振る舞いにあったのではないか―。こうした声が社内外から止まらない。四月末、子会社のダイハツ工業が東南アジアで出荷していた車の認証手続きの不正を発表した。すると章男氏は当日の夕方にオウンドメディア「トヨタイムズ」で緊急会見を配信して陳謝した。五月上旬にはタイに出張し、自ら謝罪会見を開いた。だがこの行動だけでも重大な事象には自らの手を下さず、軽微な案件で危機管理能力をアピールする、経営者としての「器」が垣間見える。
　こうした章男氏の言動に、会見を視聴したある自動車担当記者は首をかしげる。「なぜ章男氏は日野自動車、豊田自動織機では『雲隠れ』したのに、ダイハツだけ会見したのか。理由が最後まで納得できなかった」―。

日野・豊田織機では「ダンマリ」

　昨年三月、同じ子会社の日野自動車ではトラックのエンジンで、排ガスや燃費のデータを改ざんする不正が発覚した。また今年三月には、源流企業の豊田自動織機でもフォークリフトの・・・