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ドイツ緑の党の「黒い真実」

露呈した「偽善者集団」の地金

2023年6月号

 ドイツ連立与党の一角「緑の党(同盟90/緑の党)」に対して、党内の縁故主義(ネポティズム)に対する厳しい目が向けられている。前共同党首であるロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相が、政府や党の主要ポストを、自身の友人やその親類縁者ばかりで固めてきたためだ。
 副首相は、アナレーナ・ベアボック外相と並ぶ同党の二枚看板だが、自身の官房や側近に、旧友やその一族を集中的に起用していたことが明るみに出た。
 緑の党は、ドイツ政治の「しがらみ」を長年批判して、若い世代の人気を得てきただけに、支持層の失望は大きい。連立与党が進めてきた巨額の環境対策費(グリーン・マネー)の行方にも、今後は厳しい目が向けられそうだ。
 疑惑の中心は、五月十七日に経済・気候保護事務次官を更迭されたパトリック・グライヒェン氏。
 五十一歳の同氏は、英ケンブリッジ大学を卒業した後、緑の党系列のシンクタンク、関連ビジネス、関連官庁の間を自在に行き来し、政・官・財のどこにも顔が利く人脈を築いてきた。ハーベック副首相に今回持ち上がった疑惑の「ハブ」と言える人物だ。
「赤い貴・・・

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