中国経済を沈める 「外資撤退ラッシュ」
「世界の工場」の黄昏
2023年6月号
米中冷戦は半導体をめぐる対立に世界の目が集まっているが、アフターコロナの回復に躓く中国経済により深刻な打撃となっているのは、外資の生産拠点の静かだが大きな「脱中国」の動きだ。二〇一八年春に始まった米中対立によって通信関係の電子機器の生産拠点はあらかた中国から台湾、ベトナム、メキシコなどに移転したが、遅れていたパソコンやスマートフォンの工場流出も本格化している。ここにきて注目すべきはエアコン、ボイラーなど大型の家庭・業務用の機器などの工場も供給混乱を懸念し、移転が始まったことだ。今、中国経済を痛撃する輸出の停滞、雇用悪化、消費低迷の底流には「脱中国」のうねりがある。
「『白くまくん』が日本に帰ってきた」。四月二十六日、日立グループの空調機器生産を担う日立ジョンソンコントロールズ空調は栃木事業所で主力エアコン「白くまくん」スリムモデルの出荷式をメディアに公開した。同社は中国の上海市、広東省、安徽省などに生産拠点を持つが、最新モデルなどの生産を今回、栃木に移転し、国内生産比率を五〇%以上に引き上げる計画だ。
コロナ感染によって二一~二二年に起きた中国の都市ロックダウン・・・
「『白くまくん』が日本に帰ってきた」。四月二十六日、日立グループの空調機器生産を担う日立ジョンソンコントロールズ空調は栃木事業所で主力エアコン「白くまくん」スリムモデルの出荷式をメディアに公開した。同社は中国の上海市、広東省、安徽省などに生産拠点を持つが、最新モデルなどの生産を今回、栃木に移転し、国内生産比率を五〇%以上に引き上げる計画だ。
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