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政治

絶頂・岸田「アベ越え」の束の間

《政界スキャン》

2023年6月号

 後に振り返ったら、多分ここが岸田文雄首相の絶頂だったことになるだろう。主要七カ国首脳会議(G7広島サミット)は、討議や声明への評価はさておき、字義通り「インスタ映え」する見せ場がてんこ盛りの政治ショーとしては画期的な成功だった。
 世界の名だたる政治リーダーたちが、雨上がりの原爆ドームを見ながらそろって献花し、夕日の差す海面に浮かんだ厳島神社の鳥居を背に笑顔で手を振る。正規メンバー以外の顔ぶれも豪華だった。今や人口世界一の大国インドのモディ首相が、南アジアの民族衣装「クルタ」で独特の存在感を発すると、そこへ戦争中のウクライナから、トレードマークの暗緑色のシャツ姿のままゼレンスキー大統領が飛び入りで登場し、世界を驚かせる。早朝の木漏れ日の下、韓国の尹錫悦大統領が岸田氏と並んで韓国人原爆犠牲者慰霊碑に頭を垂れる光景も、厳粛な緊張感をたたえる名場面だった。
 外交を得意とした安倍晋三元首相でさえ、ここまで豪華な舞台の主役を務めたことはない。思い出すのはトランプ氏との初対面やゴルフ、プーチン氏の山口県長門市訪問、東京五輪招致にまつわるパフォーマンスの数々…&・・・