《 世界のキーパーソン》侯友宜 (台湾・新北市長)
次期総統を狙う「元警察トップ」
2023年5月号
台湾の次期総統選挙が来年一月に行われる。与党・民主進歩党は四月、同党の主席で、蔡英文政権の副総統を務める頼清徳を後任候補に決めて、先手を打った。
最大野党、中国国民党で注目されるのが、新北市長の侯友宜だ。台湾のシンクタンク「台湾民意基金会」の四月の世論調査では、頼の三三・四%に次いで、二九・七%の二位につけた。国民党は昨年十一月の統一地方選挙で圧勝しているだけに、正式に党の公認候補となれば、頼の強敵になる。
侯が政治家になる前に、警察官だったことは、あまねく有名だ。むしろタフで有能な警察官だったから政界に入ったと言える。
侯は一九五七年生まれ。子供の頃から推理小説を愛読。刑事に憧れて、警察学校に入った。警察官僚としては、高い問題処理能力を発揮し、順調に出世を重ねた。
侯の名を世間に知らしめたのは、国民党一党独裁時代の八九年に起こった「鄭南榕事件」だ。
当時の野党、民進党に近い雑誌の編集者、鄭南榕は警察当局による強制捜査に反発し、編集室に二カ月以上立てこもった後、同年四月七日、機動隊の突入直前に、ガソリンに火をつけて焼身自殺し・・・
最大野党、中国国民党で注目されるのが、新北市長の侯友宜だ。台湾のシンクタンク「台湾民意基金会」の四月の世論調査では、頼の三三・四%に次いで、二九・七%の二位につけた。国民党は昨年十一月の統一地方選挙で圧勝しているだけに、正式に党の公認候補となれば、頼の強敵になる。
侯が政治家になる前に、警察官だったことは、あまねく有名だ。むしろタフで有能な警察官だったから政界に入ったと言える。
侯は一九五七年生まれ。子供の頃から推理小説を愛読。刑事に憧れて、警察学校に入った。警察官僚としては、高い問題処理能力を発揮し、順調に出世を重ねた。
侯の名を世間に知らしめたのは、国民党一党独裁時代の八九年に起こった「鄭南榕事件」だ。
当時の野党、民進党に近い雑誌の編集者、鄭南榕は警察当局による強制捜査に反発し、編集室に二カ月以上立てこもった後、同年四月七日、機動隊の突入直前に、ガソリンに火をつけて焼身自殺し・・・