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連載

大往生考 第41話

我が子を突然失って
佐野 海那斗

2023年5月号

 納得できない形で愛する家族を失った時、それをどのようにして受け入れるのか。苦悩する人は、少なくない。
 その患者は三十代の男性だった。緑膿菌による敗血症で亡くなった。私が相談を受けたのは父親からだった。元高校教師で、理性的な人物だ。息子の死に方に不信感を抱き、弁護士に相談したところ、私を紹介された。旧知の弁護士からの依頼でもあり、お引き受けしたところ、約二百枚のカルテのコピーが送られてきた。
 闘病の始まりは、昨年一月、三十九度台の発熱で近医を受診してからだ。コロナ検査は陰性で、抗生剤と解熱剤を処方されたが、二週間経っても改善しなかった。開業医は不明熱と診断して、地元の公立病院に紹介した。
 患者は公立病院を受診すると、そのまま入院となった。主治医は総合内科の医師だ。その下に研修医がついた。総合内科とは、内科全般を診る診療科だ。消化器内科や呼吸器内科などの縦割りが進んだ反省から創設された。不明熱は、総合内科の守備範囲だ。
 二人の医師は、粛々と検査を進めた。不明熱の原因として多い感染症には培養検査やPCR検査、自己免疫疾患に対しては血液検査、悪・・・