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経済

広島経済は「お先真っ暗」

没落する「G7開催地」の哀れ

2023年5月号

 今年の先進七カ国(G7)首脳会議(サミット)開催地となった広島。「外交に強い」と自称する岸田文雄首相にとって、地元開催は政治家キャリアの華になったのは確かだが、広島経済界の重鎮たちの顔色は冴えない。広島県を支えるマツダ、中国電力の二枚看板が苦境にあえぎ、県内では日本製鉄が呉市に持つ製鉄所を九月に閉鎖するからだ。ダイソー、カルビーなどユニークな企業を生みながら、緩やかな衰退が続く。広島市は半世紀前には肩を並べていた福岡市、札幌市に大きく水を開けられ、仙台市にも抜かれかねない。「内向き」「ぬるま湯」「Bクラス優勝」体質が根付いた広島の先行きは真っ暗だ。
「中国電力の事業継続性に疑問符が付いた」。中国電に数百億円規模以上の融資残高を持つ3メガなど金融機関では、同社に対する警戒感が高まっている。二〇二三年三月期決算が過去最悪の一千七百四十億円の赤字になるうえ、関西電力、九州電力などとのカルテルで公正取引委員会から七百七億円の過去最大の課徴金納付を命じられ、さらに新電力の顧客情報への不正アクセスも発覚。自治体から入札排除処分を受けているからだ。
 それら以上の構造的な弱みが・・・

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