《企業研究》アステラス製薬
業績沈降と中国「社員拘束」の窮状
2023年5月号
呪われた船出―。社内では何やら「タイタニック」の悲劇を想起させるかのようなこんなフレーズが囁かれているという。
今年四月一日付で新たな経営体制へと移行した製薬大手のアステラス製薬。二〇一八年から指揮を執ってきた安川健司社長兼CEO(最高経営責任者)が代表権のある会長に就任。後任に岡村直樹副社長が昇格した。岡村氏は一九八五年東京大学薬学部卒業の六十歳で、安川会長と同じ旧山之内製薬の出身だ。
安川氏は岡村氏に白羽の矢を立てた理由について、二月のトップ交代会見で「固定観念にとらわれず、リーダーとして俯瞰した決定ができる」と述べ、広い視野と戦略眼を高く評価。その上で「(自社の経営を)成長曲線に乗せるメドがつき、交代の良いタイミングだと思った」と満足げな笑みを浮かべた。
期待の新薬開発に「急ブレーキ」
ところが、この会見以降、アステラスに次々と“不吉”な出来事が襲い掛かっているのである。まずその一つ目が「成長曲線に乗せる」ためのメーンエンジンとして位置付けてきた次期大・・・
今年四月一日付で新たな経営体制へと移行した製薬大手のアステラス製薬。二〇一八年から指揮を執ってきた安川健司社長兼CEO(最高経営責任者)が代表権のある会長に就任。後任に岡村直樹副社長が昇格した。岡村氏は一九八五年東京大学薬学部卒業の六十歳で、安川会長と同じ旧山之内製薬の出身だ。
安川氏は岡村氏に白羽の矢を立てた理由について、二月のトップ交代会見で「固定観念にとらわれず、リーダーとして俯瞰した決定ができる」と述べ、広い視野と戦略眼を高く評価。その上で「(自社の経営を)成長曲線に乗せるメドがつき、交代の良いタイミングだと思った」と満足げな笑みを浮かべた。
期待の新薬開発に「急ブレーキ」
ところが、この会見以降、アステラスに次々と“不吉”な出来事が襲い掛かっているのである。まずその一つ目が「成長曲線に乗せる」ためのメーンエンジンとして位置付けてきた次期大・・・