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欧州議会の「極右化」が加速

EUはやがて「崩壊」の運命

2023年5月号

 来年に欧州連合(EU)の欧州議会選挙を控える欧州で、極右政党の勢いが止まらない。四月上旬には、リベラル派にとって理想的な国と思われていたフィンランドの議会選で、移民排斥を掲げるフィン人党が第二党に躍進し、政権入りの可能性も取りざたされている。欧州統合を懐疑し、排他的な主張をくり返す極右はEUを破綻させかねない。だが、そうした懸念をすることさえ、もはや手遅れかもしれない。すでにその存在は、EU政治の内部に浸透し、常態化しているからだ。
 フィンランドで起きた「異変」は例外的な事象ではない。昨年九月のイタリア総選挙ではファシズムの流れをくむ「イタリアの同胞」が第一党となり、ジョルジャ・メローニ党首が首相に就任。同月のスウェーデン総選挙ではネオナチ関係者が創設したスウェーデン民主党が第二党に躍進し、閣外協力の形で政権運営に加わった。
 こうした流れは来年の欧州議会選挙でさらに加速しそうだ。前回二〇一九年選挙では欧州政治の軸をなしてきた中道右派の欧州人民党(EPP)、中道左派の欧州社会民主進歩同盟(S&D)の二大会派が史上初めて過半数を割った。それでも、極右勢力の躍進が一・・・