タイで中国人の犯罪シンジケートが絡む事件が相次いで発覚している。本来は外国で暮らす同胞を守る立場の在タイ中国大使館もさすがに庇いきれず、タイ当局による取り締まりを支持する「異例」の声明を発表した。ただ、今回明らかになったのは氷山の一角にすぎない。グレービジネスや違法行為に手を染める中国人の犯罪シンジケートはタイの政治家らエスタブリッシュメント層にも根を張っている。
　一連の事件の皮切りになったのは、タイ国籍を持つ中国人のチャイヤナット・コンチャヤナントが率いる犯罪シンジケートによる薬物乱交パーティーの摘発だった。
　昨年十月二十六日の未明、バンコク・サトーン地区のチャルーンラット通りにある無許可営業のナイトクラブ「Jin Ling Pub」にタイ警察の捜査官ら百人以上が踏み込んだ。現地のジャーナリストは次のように話す。
「タイの警察当局に『ナイトクラブで中国人観光客を相手にしたドラッグ・パーティーや違法賭博が繰り広げられている』という確度の高いタレコミがあったようだ。摘発があった日も、ビルの前の駐車場にはロールスロイスやポルシェ、BMWなどの高級車が並ん・・・