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経済

三井住友が抱えた 「二つの爆弾」

瀕死の住友ファーマと「親会社」

2023年4月号

「完全な判断ミス。もう取り返しがつかない」。三井住友グループの関係者がこう青ざめる。判断ミスとは、二〇一九年秋に同グループの大日本住友製薬(現住友ファーマ)が英国とスイスに本社を置くバイオベンチャーに巨額の出資をしたことを指す。それが裏目に出て、さらに別の事業での苦戦も重なった。厳しい経営状態なのだ。同社の株価はわずか四年ほどで四千円以上から五分の一以下の七百円台にまで急落した。三井住友グループを揺るがしかねないとんでもない事態が進行中なのだ。
 バイオベンチャーはロイバント・サイエンシズ。約三十億ドル(当時の為替レート換算で約三千三百億円)もの大金をはたいて、株式や新薬候補を取得することを決めた。当時の大日本住友製薬にとっては社運をかけた勝負手だった。同社の野村博社長は「これでラツーダ後の成長エンジンを獲得できる」と意気込んだ。「ラツーダ」とは売上高の四割程度を占める主力の抗精神病薬。特許が二三年二月に切れることを考慮し、新たな収益源獲得のために事前に手を打ったはずだった。
 二〇一四年に設立され、事業継続が五年あまりのバイオベンチャーに巨額の融資をして大丈夫なの・・・