三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

「広告代理店依存」という日本の病

行政・国家事業で不正横行の必然

2023年3月号

「二月の中旬に、内閣府が慌てて博報堂との間で契約を済ませたようだ」
 広告業界関係者はこう語る。この直前に東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件に博報堂の幹部が関与していた疑いが浮上していた。「指名停止になるリスクがあるので、駆け込みで契約した」(前出関係者)のだ。
 東京オリンピックを巡る疑惑が再拡大し始めた。その陰で、これまで広告代理店に業務を発注してきた官庁などは頭を抱えているという。代理店は最大手の電通を筆頭に二十年ほどかけて徐々に霞が関に食い込んできた。もはや代理店抜きで官庁が業務を遂行する力もノウハウもなく、電通などが抜けた穴を別の広告代理店が埋める悪循環にも限界がきた。行政サービスの低下と非効率が一層進む事態は避けられそうにない。

関西万博の運営に影響

 冒頭の内閣府の契約とは、いわゆる政府広報だ。二〇二二年度は年間予算が総額で八十一億円だった。一般競争入札と随意契約が混在しており大部分を電通と博報堂で分け合う。二月十五日には電通が中央省庁から指名停止処分を食らってお・・・