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経済

《企業研究》商工中金

民業圧迫「不完全民営化」の詐術

2023年3月号

「融資の現場では利益獲得に対する商工中金の異様なほどのこだわりを感じる。そうした姿勢がますます強まるのではないか」
 首都圏を地盤とする地方銀行幹部の一人はこう警戒感を募らせる。
 商工組合中央金庫(商工中金)の民営化の動きが一足飛びに進められ、政府出資の引き揚げがほぼ決定した。商工中金の業務の在り方などを議論していた経済産業省の有識者検討会(座長・川村雄介グローカル政策研究所代表理事)が二月中旬にまとめた報告書に盛り込まれたもので、経産省はこれを受けて今国会に商工中金法の改正案を提出。可決成立を目指す。しかし、地銀を中心とする金融業界には懸念が広がっており、商工中金自体もリスクを抱える。

野放図な「業務拡大」も

 商工中金は半官半民の政府系金融機関。資本金は二千百八十六億円で、国はこのうち一千十六億円、割合にして四六%強の株式を保有している。法改正後はこれを二年以内にすべて売却する計画だ。売却額は未定だが、「総額一千七百億円前後になるのでは」(金融筋)と取り沙汰されている。
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