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政治

キーウに行かない岸田

「鈍感外交」と慢心の政権運営

2023年3月号

 首相岸田文雄にとって理髪は欠く事のできないルーティンなのだろう。新聞各紙の首相動静にほぼ二週間に一度、「ヘア モード キクチ神田日銀通り店」の記述が登場する。店に滞在する時間は約二時間。激務の岸田の数少ない息抜きの時間かもしれない。しかし、以前からこの空白の時間帯に突発事態が生じた場合に即応できるのかという危機管理上の問題点が指摘されていた。
 二月十八日午後三時三十二分、岸田は同店を訪れ、午後五時十二分に店を出ているが、その十分後に北朝鮮がミサイルを発射した。ところが、岸田は官邸に戻らず、「慢性副鼻腔炎」の手術を受けた東京・北品川の耳鼻咽喉科のクリニックに向かった。治療を受けて官邸に到着したのは午後六時四十九分。ミサイルはその二十分前に落下している。つまり岸田はミサイル飛翔中に何の対応もしていなかったのだった。官房長官の松野博一は記者会見で、「問題はないと認識している」と語ったが、あまりにピンボケだ。
 この前日の十七日は自民党の元幹事長二階俊博の八十四歳の誕生日。二階が蟠踞する自民党本部五階の国土強靭化推進本部長室はまさしく千客万来。室内には胡蝶蘭の鉢植えが所・・・