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社会・文化

首都直下型地震で「地下ガス」の脅威

「大火災」を巻き起こすリスク

2023年3月号

 今年は関東大震災から百年の節目にあたる。奇しくも二月六日、トルコで二度にわたり発生したマグニチュード七クラスの地震は、死者四万五千人を超え、都市部を襲う地震の恐ろしさを改めて突きつけてきた。
 二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災では津波による犠牲者が中心だったが、東京などの都市直下地震ではトルコと同様の危険がある。
 たしかに建物の耐震技術では日本に一日の長があり、あそこまで無残に倒壊する可能性は低い。しかし最近、首都直下地震における新たなリスクが着目されている。キーワードは「ガス」と「地下水」だという。

「南関東ガス田」という燃料

 大正十二(一九二三)年九月一日の正午直前に発生した関東大震災では、大火災が東京の街を焼き尽くした。約十万五千人の死者のうち九割が焼死だったとされる。
 発生時は昼ごはんの準備で火を使っている家庭が多かった。これが火災の原因になったという考え方で、「地震だ!火を消せ!」という標語が生まれた。これは誤りではないが、火災が広がったのには別の理由・・・