《罪深きはこの官僚》柴田 大輔(警視庁捜査第一課管理官)
「被疑者自殺」公開捜査の安易な決断
2023年3月号
公開捜査とは、「被疑者の発見、検挙及び犯罪の再発防止を目的として(中略)捜査資料を不特定多数の者に公開することにより、積極的に国民の協力を求める捜査手法」(警察庁通達)だ。通達により公開捜査を使える事件や条件は制限されている。理由は、リスクがあるからだ。被疑者の人定ができておらず、画像だけで公開捜査をする場合、相手が未成年者の可能性がある。また、公開捜査されたことによって被疑者が自暴自棄になり別の凶悪犯罪を起こせば、通達の「再発防止」という目的も果たせない。被疑者が追い詰められて命を絶つのも最悪の事態だが、まさにそれが起きた。
昨年十一月二十九日、東京都立大教授で社会学者の宮台真司がキャンパス内で男に襲撃されて重傷を負った。警視庁は防犯カメラのデータを解析していたが、十二月十二日になって公開捜査に切り替え、襲撃前後の被疑者の画像が広く報道された。
今年二月に入り警視庁は、十二月十七日に相模原市内の住宅で死亡していた男が事件の被疑者だったと公表した。警察の調べに対して男の両親は「昨年十二月十二日から男の食欲がなくなって食事を取らなくなった」という主旨の話をしてい・・・
昨年十一月二十九日、東京都立大教授で社会学者の宮台真司がキャンパス内で男に襲撃されて重傷を負った。警視庁は防犯カメラのデータを解析していたが、十二月十二日になって公開捜査に切り替え、襲撃前後の被疑者の画像が広く報道された。
今年二月に入り警視庁は、十二月十七日に相模原市内の住宅で死亡していた男が事件の被疑者だったと公表した。警察の調べに対して男の両親は「昨年十二月十二日から男の食欲がなくなって食事を取らなくなった」という主旨の話をしてい・・・