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政治

日銀総裁人事に現れた「宏池会病」

《政界スキャン》

2023年3月号

 日銀OBによれば、「次期日銀トップ三人の学力偏差値は恐らく史上最高レベルになる」そうだ。総裁候補の植田和男東大名誉教授は東大数学科卒。高度な数式を操り、米国留学先での学友は欧米を代表する俊英ぞろい。副総裁候補の氷見野良三前金融庁長官は高校時代、常に全国模試上位で「富山に氷見野あり」とうたわれ、語学も堪能。中国語で中国の古典を読むのが趣味とか。もう一人の副総裁候補、内田眞一日銀理事は日銀きっての能吏で「無駄なつき合いはせず帰宅し、勉強に余念がないタイプ」(同OB)という。
「いかにも岸田文雄首相の好みをそろえたもんだね」。自民党宏池会(岸田派)幹部も苦笑いである。植田氏は、黒田東彦現総裁の東京教育大(現筑波大)附属駒場高校の後輩。以前この連載で岸田人事の筑駒偏愛を冷やかしたが、ここまで徹底しているとは。
 好みはさておき、この人事から岸田氏が何にこだわり、何を気にしているかが分かる。まず「俺が決めた」と分からせるサプライズの演出。とはいえ候補者に異才は求めず、逆に就任してから豹変しない従順なエリートを厳選する。さらに、自民党内からあれこれ言われて政局の火種を作らない・・・