トヨタ「社長交代」のなぜ今
豊田家と章男の「私的な事情」
2023年2月号
社長交代の発表としては、久々に衝撃が走った。一月二十六日の豊田章男社長の退任発表は、後継社長も予想外の人物だったため、メディアもてんやわんやの大騒ぎ。しかし、冷静に状況を読み解けば、退任は既定路線だったことが浮き彫りになる。そこには手前勝手な「豊田家の都合」が透けて見える。
重視されたのは「忠誠心」
発表された新社長は、「レクサスインターナショナルカンパニー」と章男氏肝煎りの「ガズーレーシングカンパニー」のプレジデントを兼務する佐藤恒治執行役員(五十三歳)。これまで次期社長の最有力候補と見られていた近健太氏(五十四歳)、前田昌彦氏(五十三歳)、桑田正規氏(五十二歳)という三人の副社長を飛び越えての抜擢となった。章男氏は自社メディア「トヨタイムズ」を通して行われたオンライン会見で選考理由について「クルマづくりの現場で必死に努力してきた」「クルマが大好き」「若さ」を挙げた。
しかし、「クルマづくりの現場」なら、三十二歳で初代IMV(新興国市場向けの世界戦略車)プロジェクトを担当し、三代目「プリウス・・・
重視されたのは「忠誠心」
発表された新社長は、「レクサスインターナショナルカンパニー」と章男氏肝煎りの「ガズーレーシングカンパニー」のプレジデントを兼務する佐藤恒治執行役員(五十三歳)。これまで次期社長の最有力候補と見られていた近健太氏(五十四歳)、前田昌彦氏(五十三歳)、桑田正規氏(五十二歳)という三人の副社長を飛び越えての抜擢となった。章男氏は自社メディア「トヨタイムズ」を通して行われたオンライン会見で選考理由について「クルマづくりの現場で必死に努力してきた」「クルマが大好き」「若さ」を挙げた。
しかし、「クルマづくりの現場」なら、三十二歳で初代IMV(新興国市場向けの世界戦略車)プロジェクトを担当し、三代目「プリウス・・・